東京は後戻りしない
今日も東京は雨だ。もしかしたら東京だけでなく日本全国ここ最近はずっと雨なのかもしれないが、ずーっと雨なのは気が滅入る。気持ちよく晴れた場所にそろそろ行きたい。
でも自分は晴れよりも雨の方が、好きなのかもしれない、と最近思った。雨の時の方が、ちゃんと自分の今の状況を俯瞰して見れるようになる気がするし、傘をさすのも好きだ。それに梅雨生まれも少し関係あるかも。
まあ好きというよりかは、晴れより雨の方が`″気になる″程度だけど。
今日は千春さんと初対面だった。なんか少し間の抜けたようで、でもちゃんと考えていて、本人も言っていたようにスーパーポジティブそうな人だった。
今思うと吹石一恵に似てた気がする。
あと今日は会ったわけじゃないけど、まさかの「編集長」という身分の人と電話越しで初めて喋った。さぶさんも編集長なんだけど、やっぱり声に重みを感じた。単に緊張してただけかもしれないが。
最近は本当に怒涛すぎて頭がずっと苦しい。
今日さぶさんと話してる時に久しぶりの感覚を味わった。「出口をつくる」話をさぶさんがしてた時。その話は正直聞いてて辛かった。また自分の覚悟のぬるさが露呈しそうだったから。そしたら急に目の感覚がおかしくなった。やばい、と思った。遠近感がおかしい。さぶさんの顔だけやけにはっきりしていて、でもおかしい。さぶさんの顔が魚眼レンズでのぞいたみたいに、ゆがんで…
さぶさんから見えてる景色を想像した。目の前には俺。割と真面目な表情でさぶさんの話を聞いている(多分ほとんどの人が見たことないレベルのまじめ顔)。俺の後ろには、一番窓際の席に女性の二人組がパスタのランチセットを食べている。年齢はおばさんといえるぐらい。外は曇り空だが雨は降ってない。店は路地裏にあるので、窓の外の景色は特に綺麗じゃない。雑居ビルの裏側って、なんか汚い。店の中に意識を戻すと、さぶさんから見て左側、白い壁には時計が掛けられている。時間は、11:30に集合してパスタを食べて…おそらく…って考えた時点でダメなのかもしれない。
多分自分は演じることに向いてない。向いてないというか、演じることにまだ本気になれない。
帰りに時計をちらりと見たが、壁に掛けるタイプの時計ではなかった。
まあそんなもんだな、と思った。