くたびれた自販機で二つ缶コーヒーを買って
息が白くなった。
その白さは冬のように乾いたものではなかった。
湿った白さだった。
この湿った白さが僕は好きだ。
寒いけど、肌をつんざくような寒さではない。
寒いというより、冷たい。いい感じじゃないですか。
また誰かの口癖がうつった。
すぐ人の何かがうつってしまう。
その人が僕の中に染み込んでいく。
そして誰かが抜けてく。交代ばんこだ。
すぐ覚えて、すぐ忘れる。
すぐ覚えるのは、人が好きだから。
すぐ忘れるのは、好きになる人が多すぎるから。
結局、自分の好きなものって「人」なんだなと思った。
雑誌も好きだし、漫画も好きだし、小説、映画、音楽だって好きだけど(多分みんなだいたい好き)、結局は「人」なのだろう。
ちょっと突き詰めると。あんまり突き詰める作業は好きじゃないけど。